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【漫画サイト1位】『金の国 水の国』の対比という演出に感動する!

2017年「このマンガがすごい!」にて第1位となった作品を原作に、今年1月に劇場公開された作品「金の国 水の国」。
映画館やテレビでときおり宣伝がなされているのを見かけて、どんな映画か気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「金の国 水の国」のレビューや魅力を紹介していこうと思います。
この作品が気になっているという方はぜひ参考にしてください。

物語のあらすじ

砂漠にあり大きく栄えているが水が不足しつつある「金の国」と、水や緑に囲まれているが経済が貧しい「水の国」のふたつの国は、隣国同士でありながら長い間とても仲が悪かった。
金の国に住む温厚な王女「サーラ」と水の国に住むひょうきん者の男「ナランバヤル」の2人は、国同士の仲裁の為、偽りの夫婦を演じることになる。
敵国同士ながら互いに惹かれ合うサーラとナランバヤルの2人を中心に描かれる両国の優しさにあふれた物語。

『対比』をテーマに描かれる雰囲気たっぷりの物語

この「金の国 水の国」という作品の原作は、元々は白黒で描かれた漫画作品です。
原作ではモノクロながら綿密に描かれたイラストが魅力ですが、アニメーション映画として描くことによって、綿密さはそのままに、色や光の表現が加わり見応えある作品として仕上がっています。

全体的な雰囲気としては、温かみあるオリエンタルで民族チックな絵柄で描かれており、ストーリーもまるでおとぎ話や絵本のような、どこか異国の童話を読んでいるかのような気分になれる作品でした。

この作品を大いに楽しむために紹介しておきたいのが、大きな主軸として「対比」をテーマに描かれているであろうということです。
あらすじから読み取れるように、この作品は仲の悪いふたつの国を軸としてストーリーが描かれています。

相反する敵である国同士の「対比」からはじまり、登場するキャラクターや舞台の街に至るまで、作品を観ているうちにあちこちで「対比」を意識した作りをしていることが分かるのです。

物語を追うと共に、度々そこに添えられるキャラクターやそれぞれの国の「対比」に気づくことが、この作品をめいっぱい楽しむ秘訣だと感じました。

この「対比」というテーマを踏まえて、この作品の魅力を紹介していきたいと思います。

魅力1:異国情緒あふれる『世界観』

映画を見始めてからすぐに感じることができるのは、作中至る所で感じられる異国情緒ある雰囲気です。
街並みから人々の着ている衣装や家具など、全体的に民族調でエキゾチックなデザインで統一されていて、それぞれの国に合わせた雰囲気を楽しむことができます。

「金の国」は砂漠に金色の建物が立ち並び、にぎやかで光あふれる黄砂の街。
一方の「水の国」は水と緑が生い茂り、まるでジャングルのようでありながら落ち着いた質素な村。

隣国でありながら全く違う、対照的な雰囲気となっており、ふたつの国それぞれで違った情緒を感じることができます。

魅力2:個性の立った『登場人物』

2つ目の魅力は、メインであるサーラやナランバヤルを初めとした個性豊かな登場人物たちです。
異国情緒あふれるデザインと、それぞれの性格や時折のぞくギャップの際立つ個性的な一面が合わさって、1度登場したら忘れられなくなるキャラばかりです。

ふくよかでおっとりした雰囲気のサーラに、対称的にどこか鋭い雰囲気がありつつお調子者で人の良さげなナランバヤルの2人は、遠い異国のような雰囲気の作中でも親しみ深さを感じられる、ある種平凡で素朴なキャラクターデザインとなっています。

そんな2人の周りには、なかなかにクセがありつつ時にコミカルに描かれるキャラクターたちが揃っています。

金の国には、傲慢で名誉回復のための手段は選ばない王様をはじめ、豪勢な暮らしを満喫するサーラの姉である王女レオポルディーネや、イケメン俳優として名を馳せているサラディーンなど、金の国らしい煌びやかなお城の面々の一方、腹の底が読めない謎めいた護衛役のライララなどの王族らしく華やかで奇抜な人物達が次々と登場します。

対する水の国は貧しさの為か華やかさはないものの、王様らしく威張っている金の国の王に対してオネエ口調で癖強めの王様が国を治めていたり、金の国とは打って変わって純朴で温かみあるナランバヤルの家族たちがひっそりと暮らしている様子が描かれています。

漫画作品が原作なだけあって、まるでギャグ漫画のようなテンポの良さとキャラクターの濃さが印象的です。

シーンが変わる度現れる個性豊かなキャラクター達に惹かれ、飽きることなく作品を楽しむことができました。
皆それぞれの想いを抱えながら、しかし誰もが自らの国のために奔走する姿は、この作品の要とも言える素晴らしいポイントのひとつです。

魅力3:やさしさに溢れたストーリー

3つ目の魅力は、思いやりに満ちたストーリーです。
ここまで「対比」に注目して魅力を紹介してきましたが、
この作品は、「正反対の国であるからこそ、互いに持っていないものを巡って争ってきたふたつの国」を題材に描かれる物語となっています。

国同士の諍いという現実でも深刻な問題として語られている題材で、
ニュース等で見かける度に心を痛めるような出来事が多く、誰もが平和を願う気持ちを持つ中、
これらを優しく綺麗にまとめるラストは何よりこの作品を最後まで見届けて良かったと思えるもので、心が洗われるような穏やかな気持ちにさせられました。

まとめ

「金の国 水の国」は対比という演出を活かしながらも思いやりに満ちたストーリーを持つ、心温まる作品でした。
皆さんもぜひ、美しくも優しい金の国と水の国での物語に触れてみてください!

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