あらすじ
雨の日に発生する殺人事件には、必ずメモが残されていた。こだわりの方法で死体を見せる事を選ぶ犯人は、自らをアーティストと称する。雨の日だけに現れる犯人はカエル男と名付けられ、刑事・沢村が真相を追う。しかし、沢村は徐々にその罠にはまってしまい、カエル男の“ミュージアム”に捉えられてしまう。カエル男の狂った感情をみた沢村が取った行動とは。人は究極の状態で何を考えるのか-。
原作
原作は、巴亮介氏のマンガ『ミュージアム』。
「私刑-個人が、法によらず手に犯罪者などに刑罰を加える事。」この冒頭から始まります。そして、カエルの姿に扮した男が、奇妙な殺人を繰り返すサスペンスです。最初は、犬に腹を食べられて殺された事件。これをカエル男は「ドッグフードの刑」と称します。
次に、母と2人で暮らす引きこもりの男を、親のスネをかじっていると有罪判決を下します。その刑は「母の痛みを知りましょうの刑」。なぜこんな事をするのか。グロテスクでありながら、次を知りたいと思い、散りばめられたヒントを結んで行くと、どんどん物語に引き込まれて行きます。
新潟ロケ
新潟の街並みを知る人には、「あそこだ!」と分かる場面が多いので、更に楽しめます。
万代の街並み
新潟市の中心部、万代の街中を駆け抜ける主人公がいます。その先にはカエル男が。
旧大和デパート
屋上からの眺めは、知っている方も多いはず。
いくとぴあ育花動物ふれあいセンター
こちらの施設では、医務室が使われました。特に監督が絶賛した施設だそうです。
JXエネルギー株式会社 新潟事業所
貨物引き込み列車格納庫です。古く、荒々しい雰囲気が更に臨場感を増します。こちらでは、深夜まで撮影が行われたそうです。
ナミックス株式会社 ナミックステクノコア
東京医療センターとして使われた施設。近未来風の建物でストーリーにぴったりでした。
華麗なる俳優陣
小栗旬が主人公・沢村を演じます。仕事人間だった沢村が、カエル男の罠に囚われてから、徐々に見せる表情が変わってきます。動きのあるシーンも見事にこなしています。沢村の妻に尾野真千子、野村周平、松重豊。実力派俳優が物語を作っています。表現力が高いからこそ、原作のスリルがしっかりと伝わります。
カエル男の正体
カエル男は、一体何の為に、何がきっかけで殺人を犯す様になったのか。男が選ぶ“私刑”には、全く共感できない点がないわけでもないのは、カエル男自身に相手を思いやる気持ちがあったのではないかと感じるから。この奇人を演じるのは一体誰なのか?声で分かる人も多いはず!ぜひ当ててみてください。
『るろうに剣心』の大友啓史監督
この映画のタッグについて監督は、「小栗くんとならこのネタやりますという感じだった。」と、自身が望んだものだと話しました。それは「小栗君は必要な情報を自分の体に落とし込んでアウトプットできるからだ。」と褒めたたえています。
実写化にあたって、原作を隣に置かない様にしていると話す監督。寄せていくのも大切だが、離れていく事も重要だそうで、現代的で風俗描写にこだわったそう。その為、シーン毎に哀愁が漂う色使い、臨場感のあるカメラワークが作り出されています。
ただ、脇役の顔の印象はとても大事だと、今度は原作を元に、綿密に配役を決めて行ったそうです。そういった取り組みが、原作と違う部分を取り入れながらも、原作のじめっとした、ハラハラさせられる重厚感が見事に生きているのだと感じます。
『新宿スワン』の山本英夫撮影監督
主人公の姿の動きをリアルに追うスピード感のあるカメラワーク。撮影監督を務めるのは、『HANA-BI』等で有名な山本英夫監督。大友監督は、山本監督の撮影について、エッジのあるショットで、題材とマッチしていると褒めています。臨場感のある画だと伝え、「僕が見たことのない日本映画の修羅場をくぐり抜けてきたような人だからなのか、安定感がある。」と絶賛しています。ぜひスピード感、そして臨場感を体感して欲しいです。
まとめ
刑事の沢村が、追っていたはずのカエル男に、じわじわと追い詰められていく様子を体感してください。新潟の街を走り抜けた後、ラストはどの様な展開が訪れるのか。最後までハラハラしながら、お楽しみください。