1996年に誕生してから今まで、絶大な人気を誇っている「ポケットモンスター」。
昨年の11月には新作ゲームも発表され、今なお愛されているコンテンツとなっています。
ゲームやアニメなど、さまざまなメディアで見かけることできるポケットモンスターですが、子供の見るものというイメージのある方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は「大人も楽しめるポケモン」との評価を受け大いに話題となった、「名探偵ピカチュウ」のレビューや魅力を紹介します。
目次
物語のあらすじ
おなじみの「ポケモン」を実写映画化した作品。
ポケモンと共存する街、ライムシティを舞台に、亡くなった父親の謎を探りに来た青年、ティムと亡き父親のポケモンであり何故か人間の言葉を話すピカチュウが、父の追っていた謎を2人で解明すべくコンビを組んで冒険する物語。
他の「ポケモン」シリーズとは一味違う作風
「ポケモン」といえば子供向けのコンテンツ、というイメージが強いですね。
ポケモンの映像作品といえばアニメが1番に思い浮かびますが、この作品は「ポケモン初の実写映画」であると紹介されています。
見慣れたシンプルなアニメやドット絵ではなく、細かな描写やリアルな質感で描かれたこの作品から感じられるのは、
「子供ではなく、大人に向けたポケモン」だということです。
生き物ということを強調するかのような写実的でリアルな質感、本当に生き生きと動いているポケモンたちの様子を見たとき、何度も見たデザインのポケモンたちの馴染み深さと、実写映画としての細かい表現が合わさって、まるで全く知らない新しいポケモンを見たときのような新鮮さを強く感じました。
どのシーンを見ても、ものすごくワクワクできます。
歳を重ねた大人も楽しめる、新しい「ポケモン」の形を提示し、
それでいていつも画面を隔てて接していたポケモンを、とても近くに感じさせてくれるのが、この「名探偵ピカチュウ」という作品です。
この作品の何よりの魅力は、私たちに馴染み深い実写の世界とポケモンたちが違和感なく調和して作られる「実際に私たちの世界にポケモンが息づいていたら?」を追体験できることです。
そんな「名探偵ピカチュウ」の魅力を、大きく3つに分けて紹介します。
魅力1:生き生きと描かれる世界の『表現力』
まず、この作品の魅力を詳しく綴るに当たって何より伝えたいのは、これでもかというくらい綿密に表されたポケモンの表現力です。
映される街並みのそのすべてに、警察犬として人間と一緒に活動するこいぬポケモンのガーディ、交通誘導員として路上に立つ人型のポケモンカイリキーなど、人間と共生するポケモンたちが描かれています。
人々の営みの間を縫うように、のびのびと空を飛ぶピジョットやスワンナといった鳥ポケモン、ビルの壁や物陰でひっそりと暮らす虫ポケモンのバチュルに至るまで、
自然の一部として息づいている、野生のポケモンたちの姿もしっかりと描かれています。
ポケモンたちの一挙一動を精密に描き、生態をも忠実に再現していて、
僅かなシーンにもポケモンたちの暮らす様子が詰め込まれている。
セリフのないシーンでもポケモンたちが生き生きと動く様がこちらを楽しませてくれる。
まさに見るポケモン図鑑と言っても過言ではないほどに作り込まれているのが、この映画の魅力のひとつなのです。
また、眺めているだけでワクワクしてくるライムシティは私たちの見慣れたビル群やタワーの建ち並ぶ大都会ですが、よく見ると街の至る所にポケモンをモチーフとした看板やロゴマークを見ることができます。
行き交う人々の服や小物まで、何気ない日常の隣にポケモンがいるのが当たり前の世界が自然に表現されています。
魅力2:新しくも親しみを持てる『質感』
もうひとつの魅力としては、ポケモンのリアルな質感について。
現実にいる動物たちの特徴を上手く落とし込んで、親しみやすさと生物感を両立した素晴らしい出来となっています。
おなじみのピカチュウやイーブイ、プリンなどのかわいいポケモンたちは、それぞれの造形をしっかりと描きながらも、ふわふわの毛に豊かな表情でぬいぐるみともペットとも取れるかわいらしさです。
一方でリザードンのウロコのような皮膚、トカゲ感全開といった風貌のキモリなど、動物らしさを全面に押し出したデザインのポケモンたちもちます。
ベロリンガやゲッコウガなどの大きな舌を持つポケモンのディテールはあまりのリアルさに少し鳥肌の立つレベル…。
たくさんの種類と個性を持つポケモンたちのそれぞれの姿が現実に忠実に、かつ丁寧に描かれているのがわかるはずです。
私たちがよく知る生き物との共通点を見いだせるような質感で、まるで実在しているかのような馴染み深さを感じることができます。
また、モデルとなったであろう生き物は何かがわかるようになっているのも楽しい部分です。
魅力3:インパクト抜群に描写される『感情』
ポケモンも確かに生き物であり、一般的に知られているかわいらしく親しみの持てる面だけではなく、当然生物としての恐ろしい部分もあります。
その両面を感じられる描写をすることによって、よりポケモンを生き物として感じられるようになっています。
それを何より感じられるのが、この作品で描かれるポケモンたちの「感情」の表現です。
特に怒りを顕にするポケモンたちの迫力がすごい。アニメやイラストでいつもかわいらしく描かれるポケモンですら、作中では怒らせるとぎょっとするくらい恐ろしい形相で攻撃してきます。
人間では到底敵わないであろう、逃げるしかない、現実で手のつけられない猛獣に対峙したかのような絶望感を感じられます。
獣のようであり、友人でもある、そういうポケモンの魅力を、感情の面からアプローチしているのも良いポイントです。
なでられて目を細めたり、うれしそうにしっぽを振ったり、しょんぼりして耳を垂らしたり、動物たちに通ずるボディランゲージがあるほか、
逆に現実の動物たちでは逆に感じにくい部分である、はっきりとした表情が描かれていたりします。
公開時に話題になったしわしわピカチュウなども、あまりに悲痛さが伝わってくる表情をするピカチュウが観た人達の共感を呼んだのでしょう。
表情とボディランゲージが合わさることにより、ポケモンたちに友達や家族のような親しみと、共に共生している生き物であるということが同時に伝わるのです。
ふと画面外に目を向ければ、まるで部屋の中や窓の外にいてもおかしくないレベルのポケモンたちが、あちこちに生きづいているのを見ることができます。
まとめ
「名探偵ピカチュウ」は、凄まじい臨場感と没入感で、私たちを「ポケットモンスター」のせかいへと連れて行ってくれます。
他の「ポケモン」のコンテンツとは一線を画した、本当にリアルなポケモンたちの世界を楽しめること間違いなしの作品です!
大人も楽しめるポケットモンスターのせかいへ、あなたもぜひ遊びに行って見てください。